という芝居はありませんでした。
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「なにか旨《うま》い物が食いたいなあ。」
そんな贅沢《ぜいたく》を云っているのは、駐屯無事の時で、ひとたび戦闘が開始すると、飯どころの騒ぎでなく、時には唐蜀黍《とうもろこし》を焼いて食ったり、時には生玉子二個で一日の命を繋《つな》いだこともありました。沙河《しゃか》会戦中には、農家へはいって一椀の水を貰《もら》ったきりで、朝から晩まで飲まず食わずの日もありました。不眠不休の上に飲まず食わずで、よくも達者に駈け廻られたものだと思いますが、非常の場合にはおのずから非常の勇気が出るものです。そんな場合でも露西亜兵《ロシアへい》携帯の黒パンはどうしても喉《のど》に通りませんでした。シナ人が常食の高梁《コーリャン》も再三試食したことがありますが、これは食えない事もありませんでした。戦闘が始まると、シナ人はみな避難してしまうので、その高梁飯も戦闘中には求めることが出来ず、空腹をかかえて駈けまわることになるのです。
燈火は蝋燭《ろうそく》か火縄で、物をかく時は蝋燭を用い、暗夜に外出する時には火縄を用いるのですが、この火縄を振るのが案外にむずかしく
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