云って方々からあつまって来て、片っ端からみんな持って行ってしまいましたよ。世の中は薄情に出来てますね。なるほど徳の野郎が今の奴らと附き合わなかった筈ですよ。」
 わたしは黙って聴いていた。そうして、お玉さんは此の頃どうしているかと訊いた。
「お玉は病院へ行ってから、からだはますます丈夫になって、まるで大道|臼《うす》のように肥ってしまいましたよ。」
「病気の方はどうなんです。」
「いけませんね。もうどうしても癒らないでしょうよ。まあ、あすこで一生を終るんですね。」と、おじいさんは溜息をついた。「だが、当人としたら其の方が仕合せかも知れませんよ。」
「そうかも知れませんね。」
 二人はそれぎり黙って風呂へはいった。[#地付き](掲載誌不詳、『十番随筆』所収)
[#改丁、ページの左右中央に]

   ※[#ローマ数字2、1−13−22] 旅つれづれ

[#改丁]


昔の従軍記者


     *

 ××さん。
 仰せの通り、今回の事変(支那事変)について、北支方面に、上海《シャンハイ》方面に、従軍記者諸君や写真班諸君の活動は実にめざましいもので、毎日の新聞を見るたびに、他人事《ひとごと
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