がお玉さんを知ってからもう三、四年も経っても、嫁にゆくような様子は見えなかった。お玉さんもだんだんに盛りを通り過ぎて、からだの幅のいよいよ広くなってくるのばかりが眼についた。
そのうちに誰が云い出したのか知らないが、お玉さんには旦那があるという噂が立った。もちろん旦那らしい人の出入りする姿を見かけた者はなかった。お玉さんの方から泊まりにゆくのだと、ほんとうらしく吹聴《ふいちょう》する者もあった。その旦那は異人さんだなどと云う者もあった。しかしそれには、どれも確かな証拠はなかった。この怪《け》しからぬ噂がお玉さん一家の耳にも響いたらしく、その後のお玉さんの様子はがらりと変って、買物にでも出るほかには、滅多にその姿を世間へ見せないようになった。近所の人たちに逢っても情《すげ》なく顔をそむけて、今までのようなにこにこした笑い顔を見せなくなった。三味線の音もちっとも聞かせなくなった。
なんでもその明くる年のことと記憶している。日枝《ひえ》神社の本祭りで、この町内では踊り屋台を出した。しかし町内には踊る子が揃わないので、誰かの発議でそのころ牛込《うしごめ》の赤城下《あかぎした》にあった赤城座
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