の人間と見積もられたのは甚《はなは》だ心外である。妹が言うまでもない。それは自分から進んでその潔白を明らかにしなければならないと思った。それにつけても妹の突き詰めた様子が不安でならなかった。
「よし、よし、万事はおれに任せて置け。決して短気を起してはならないぞ。ここでお前がうっかりしたことをすると、あれ見ろ、あいつは悪い事をした申し訳なさに自滅したと、かえって理を以《も》って非に陥るようなことになる。くれぐれも無分別なことをしてくれるなよ」
 彼は噛んでふくめるように妹をさとして、きょうはおとなしく帰っていろ、いずれ改めておれが掛け合いに行くと言い聞かせた。
 こうしてお光を帰して置いて、栄之丞はその翌日堀田原へ出向いて行った。お光はここの主人の世話で三河屋の寮へ奉公するようになったのであるから、その関係上まずここへその事情を明らかに断わって置かなければならないと思ったからであった。
 小身《しょうしん》ながらも武士であるから、堀田原の主人もその話を聴いて眉をしわめた。それは気の毒なことで、御迷惑お察し申すと栄之丞|兄妹《きょうだい》に深く同情した。しかしそれは一種の蔭口に過ぎないので
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