よく免《ゆる》してくれるかも知れないと言った。
 足の進まないお光を叱るように追い立てて、栄之丞は妹と相合傘《あいあいがさ》で雪の門を出た。兄の袖にしょんぼりと寄り添って、肩をすくめて泣きながら歩いて行くお光のすがたが、兄の眼にはいじらしく見えてならなかった。雪を吹き付ける田圃の風を突っ切って、二人は真っ白になって橋場の寮にたどり着いた。
 主人の方でもお光の遅いのを心配しているところであった。お内儀さんは穏やかな人で、殊に新参ながらお光を可愛がっているので、その話を聴いて一旦は驚いたが、別にお光を咎《とが》めようともしなかった。
「それでも怪我がなくってよかった。なに、あの金が今要るという訳でもないんだから心配するには及びません。阿兄《おあにい》さんもわざわざ御苦労さまでございました」
 この返事を聴いた栄之丞もほっ[#「ほっ」に傍点]とした。お光は嬉し泣きにまた泣いた。
「御主人のお慈悲を仇《あだ》やおろそかに思ってはならないぞ。この上の御恩返しにはせいぜい気をつけて御奉公をしろよ」
 主人の前で妹にくれぐれもこう言い聞かせて、栄之丞は早々に帰った。こんなことで堀田原へ廻るのが非常
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