は卑怯というもの。わたしが自身の口からは言いにくいことを、いっそあなたが打明けて下されば却って仕合せかも知れません。今のは言い過ぎで、どうぞ悪しからず思ってください」
案外にもろく折れられて、栄之丞もほっ[#「ほっ」に傍点]とした。次郎左衛門はふいと、こう言い出した。
「そこで、栄之丞さん。わたしの方でも卑怯なことはやめにして、こうして三人|三鼎《みつがなえ》で何もかも打明けて相談することにしましょうから、あなたの方でも卑怯なことは止して下さい。これからも末長くおつきあいを願おうと思っているのに、お互いに仇同士のような料簡をもっていては、どうも面白くありませんからね。この次郎左衛門に意趣遺恨があったら、どうぞ遠慮なしに真正面《まとも》からぶつかって来て下さい。ようござんすか。なんでもまともから男らしく……薄っ暗い所で卑怯な真似をしないで」
奥歯に物の挟まった言いようである。自分は次郎左衛門に対して、薄暗い所で卑怯な真似をした憶えはない。それには何か思い違いがあるに相違ないと栄之丞は思った。誰に対しても、自分が恨まれているというのは快《こころよ》くないことであるが、取り分けてこの次郎
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