そ》んでいるらしく思われたので、お時はさらに胸を冷やした。この上になおも無理なことを言い出したら、二人はいよいよ突き詰めてどんなことを仕でかすかも知れない。お時はそれを想像するさえ身の毛がよだった。もうこうなったら黙って成り行きを窺っているよりほかはないと、お時は腫れものに触《さわ》るようなおびえた心持ちで、遠くからそっと二人を眺めていた。
 しかし、どう考えても此のままで済もうとは思われなかった。やがて廓の颶風《はやて》がここへ舞い込んで来て、それからいろいろの渦を巻き起すことはありありと眼に見えているので、お時は毎朝の空を眺めて、きょうが其の破滅の悪日《あくび》ではないかと、いつも怖ろしい予覚におびやかされていた。
 きょうは盆の十三日で、亡き人の魂《たま》がこの世に迷って来るという日である。亡き魂と死と、こんなことを考えるとお時の心はいよいよ暗くなった。多年住み馴れているわが家も今夜に限ってなんだか薄ら寂しく、十吉が早く帰って来ればいいと待ち侘びしかった。
 堤下《どてした》の浄閑寺《じょうかんじ》で夕《くれ》の勤めの鉦《かね》が途切れとぎれに聞えた。
 さっき行水《ぎょうずい》
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