平家蟹
岡本綺堂
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)玉虫《たまむし》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|人《にん》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1−91−26]
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登場人物
官女 玉虫《たまむし》
その妹 玉琴《たまこと》
那須与五郎宗春《なすのよごろうむねはる》
旅僧 雨月《うげつ》
官女 呉羽《くれは》の局《つぼね》
同 綾の局
浜の女房 おしお
那須の家来 弥藤二《やとうじ》
ほかに那須の家来。浜のわらべなど
[#改ページ]
(一)
寿永四年五月、長門国《ながとのくに》壇の浦のゆうぐれ。あたりは一面の砂地にて、所々に磯馴松《そなれまつ》の大樹あり。正面には海をへだてて文字ヶ関遠くみゆ。浪の音、水鳥の声。
(平家没落の後、官女は零落してこの海浜にさまよい、いやしき業《わざ》して世を送るも哀れなり。呉羽の局、綾の局、いずれも三十歳前後にて花のさか
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