いに遣《よこ》すから、今夜だけはここへ寝かして置いてくれと云った。寺では少しく迷惑らしいようであったが、相手が相手であるから情《すげ》なく断わるわけにも行かないので、結局承知して吉五郎を帰した。
さっきからよほどの時を費したので、今さら墓場の探索をするのも無駄だと諦めて、吉五郎はそのまま表へ出た。それから神田へ帰る途中、江戸川橋でお冬のすがたを認め、更に長三郎にも出逢ったことは、前に記《しる》した通りである。そこで吉五郎がどんな発見をしたかは、留吉はもちろん知らなかったが、親分が自分ひとりをここに残して行った料簡《りょうけん》はよく判っていた。
「あの医者は手軽そうなことを云ったが、なかなかそうは行かねえらしい。腕も足もずきずきと骨が痛んで、自由に身動きもならねえ。あしたは駕籠に乗って骨つぎの医者へ行って、よく診《み》て貰わなけりゃあならねえ」
寺の納所《なっしょ》たちへ聞こえよがしに、彼はこんなことを云って、わざと苦しそうに顔をしかめていた。
そこに寝床を敷いてもらって、彼は頭から衾《よぎ》を引っかぶってしまったが、自分には大事の役目のあることを承知しているので、今夜は眠らない
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