がのそのそはいって来て、低く唸りながらお角に迫って来るのです。これにはお角もおどろきましたが、窓の扉が堅く閉《しま》っていて、どうして明けるのか判らない。入口の扉にもいつの間にか錠がおろしてある。あわててお角は両肌を入れて、部屋じゅうぐるぐると逃げ廻っていましたが、なにしろここへ閉じこめられて逃げ出すことが出来ない。
こうして一※[#「日+向」、第3水準1−85−25]《いっとき》ほども過ぎた後に、誰があけたか知らないが、入口の扉が自然にあきました。お角は真っ蒼になって出て来ました。犬もおとなしく付いて来ました。
お角は黙って帰ろうとすると、島田も出て来ました。二人はやはり黙ったままで神奈川の家《うち》へ帰りました。これはお角ひとりの申し立てで、アグネスも島田も死んでしまったのですから、たしかなことは判りません。一体なんの為にこんな事をしたのか、犬を使ってお角を咬み殺させるつもりか、それとも何かほかに目的があったのか、それらのことも判り兼ねます。アグネスもお角に嫉妬を懐《いだ》いている。島田もほかに情夫《おとこ》があると云うのでお角に嫉妬を感じている。その二人が共謀して、何かお角を
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