れからふっと考え付いたのです」
「どんなことを考え付いたのです」
「さあ、それは少しお話ししにくい事で……」と、老人は顔をしかめながら微笑《ほほえ》んだ。「お角の白状をお聴きになれば自然にわかりますよ。その白状によると、先ずこうです。ヘンリーはわたくしに隠していましたが、ハリソンとお角との関係について、女房のアグネスは嫉妬をおこして、家内はかなりに揉めていたらしいのです。そこで、六月|晦日《みそか》の朝……朝と云っても、やがて午《ひる》に近い頃だそうですが、お角は島田と一緒に異人館へ出かけて行くと、きょうは晦日の勘定日でハリソンは店の方へ出ていました。その留守に、アグネスと島田とお角と三人で暫く話していると、そのうちに島田がお角にむかって、細君もおまえの彫物《ほりもの》を写真に撮りたい。今度は、まる裸になるに及ばない、ただ両肌を脱いで蟹のほりものを見せればいいのだと云うのです。それで、十五ドル呉れるというのでお角も承知しました。
 それから奥のひと間へはいって、暑い時分ですから帯を解いて、お角は帷子《かたびら》の両肌をぬいで、椅子に腰をかけて待っていると、やがて一匹の大きな洋犬《カメ》
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