ざ江戸から出て来たのだ」と、半七は声をやわらげて諭《さと》すように云った。「おまえの先生はお角が殺したのだろう」
「お角です。きっとお角に相違ありません」
「おれもそうだろうと思っていた。こうなったら何もかも正直に云ってくれねえじゃあ困る。一体、先生とお角とはどうして心安くなったのだ。前からの知り合いかえ」
「前からの知り合いだと云っていますが、どうもそうじゃあ無いらしいのです」と、吾八は答えた。「去年の冬、わたくし共がここへ引っ越して来て間もなくの事です。先生は江戸へ写真を売りに行って、その帰り道でお角に逢って、一緒に連れ立って帰って来ました。それから当分は夫婦のように暮らしていて、正月になってからお角は又どこへか出て行きました。その後はどうしているのか知りませんが、十日目か半月目ぐらいに帰って来て、暫くいるかと思うと又どこへか出て行って、家《うち》の人のような、よその人のような工合いで、出たり這入ったりしていました。そのうちに、この四月の初めでした。ハリソンさんが本牧の写真を撮りに来て、そのついでにこの家へたずねて来ますと、丁度その時にお角も来ていて、ハリソンさんと顔を見合わせてお
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