お話をしなければなりません」
「私もそれが気になっていました。年造はどうして生きていたんです」
「まあ、お聴きなさい。年造は湯島の早桶屋へ手伝いに行っていて、亭主の伊太郎がコロリで金儲けをしたのを知って、夜なかに忍び込んで亭主を殺し、女房に疵をつけて、十両ばかり金を取りました。その時に、隣りの大吉も一緒に行って、表で見張り番を勤めていたんです。ところが、天罰と云うのか、運がいいと云うのか、年造はコロリに罹《かか》って、善八が召し捕りにむかった時には、もう死んでいました。そのときに善八がもう少し上手に大吉を調べれば、こいつも同類という見あらわしが出来たんですが、そこまでは行かないで一旦は見逃がしました。
それから年造の死骸を千住の焼き場へ持って行くと、コロリ騒ぎで焼き場は大繁昌、五十も六十も棺桶が積んであって、とても右から左には焼けないというので、棺桶をそのまま預けて帰りました。その頃の焼き場は乱暴なもので、殊に大混雑の際だから滅茶苦茶です。そこで、近所の者が棺桶を置いて帰った後、どうしたものか年造は息を吹きかえして、棺桶を毀して這い出しました。夜は更けて、あたりは真っ暗、もちろん誰に
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