物をこしらえたに相違ないが、本物と掏り換える約束をした覚えはないと云うんです。それから証拠の風呂敷を突きつけて、だしぬけにお前は丸多の主人をころしたなと云うと、重兵衛は俄かに顔の色を変えました。さあ、その途端に凄まじい響きと共に、大地がぐらぐらと激しく揺れて、この茅葺きの屋根の家が忽ち傾いたには驚きました。
逃げるという考えもありません。ただ跳ね飛ばされたように庭先へ転げ落ちると、なんだか知らないが砂けむりのような物が一面に舞って来て、近所の家は大抵倒れたり、傾いたりしている。一体どうしたのだろう、大地震か旋風《つむじ》かと、みんなが顔を見合わせていると、その隙をみて重兵衛は表へ飛び出しました。表の垣根は倒れてしまったんですから、自由に往来へ出られます。こいつを逃がしてはならないと思って、わたくしも続いて追って出る、亀吉も幸次郎も追って出る。その途端に、激しい揺れが再びどん[#「どん」に傍点]と来て、わたくし共は投げ出されたように倒れました。つづいてがらがら[#「がらがら」に傍点]という音がする。火の粉が飛ぶ……。さては火薬が破裂したのだろうと気がついて、半分這い起きながら窺うと、こ
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