ら出ているらしいと思って、乗り出してみると案の通りでした。勝蔵と寅吉はなかなか強情を張っていましたが、わたくしが唯一言『貴様たちが商売道具につかっている舶来の人形はどこから持ち出した。あのロイドから借りて来たか』と、云いますと、奴らは蒼くなってふるえ出して、みんなべらべらとしゃべってしまいましたよ。ふたりは死罪になりました。ロイドは外国人ですから、うっかり手をつけるわけにも行かなかったんですが、同類ふたりが挙げられたのを聞いて、ピストルで自殺したそうです。人形の首は深川の寅吉の家の床下に隠してあったのを探し出して、丸井と近江屋の番頭をよび出して見せますと、まったくそれに相違ないと申し立てました。その首は参考のために保存して置こうという意見もあったんですが、とうとう叩き毀してしまったということです」



底本:「時代推理小説 半七捕物帳(三)」光文社文庫、光文社
   1986(昭和61)年5月20日初版1刷発行
   1997(平成9)年5月15日11刷発行
入力:網迫
校正:藤田禎宏
2000年9月5日公開
2004年3月1日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネ
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