ろじゅす》の帯、年は十七|初花《はつはな》の、雨にしおるる立姿《たちすがた》」と唄った。半九郎に対しては、「男も肌は白小袖にて、黒き綸子《りんず》に色浅黄うら」と説明した。
一種哀艶の調《しらべ》である。但しこれは少なくも六十余年の後、この唄の作者が住んでいた時代の姿で、この物語にあらわれている男と女との真実の姿ではない。
それでも私たちは「女肌には白無垢や」の唄に因《よ》って、二百余年来かもしなされて来た哀艶の気分をいつまでも打ち毀《こわ》したくない。この物語に二人の服装を一度も説明しなかったのはこれが為である。
底本:「江戸情話集」光文社時代小説文庫、光文社
1993(平成5)年12月20日初版1刷発行
入力:tatsuki
校正:かとうかおり
2000年6月14日公開
2008年10月4日修正
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