は罪を免かれた。
道中では心得て置くべき事である。
関帝現身
順治丙申《じゅんじへいしん》の年、五月二十二日、広東韶州府《カントンしょうしゅうふ》の西城の上に、関羽《かんう》がたちまち姿をあらわした。彼は城上の垣によりかかって、右の手に長い髯《ひげ》をひねっていたが、時はあたかも正午であるので、その顔かたちはありありと見られた。
越えて二十三日と二十八日に又あらわれた。
城中の官民はみな駈け集まって礼拝し、総督|李棲鳳《りせいほう》はみずから関帝廟に参詣した。
短人
徳《とく》州の兵器庫は明《みん》代の末から久しく鎖《とざ》されていたが、順治の初年、役人らが戸を明けると、奥の壁の下に小さい人間を見いだした。
人は身のたけ僅かに一尺余、形は老翁の如くで、全身に毛が生えていた。彼は左の膝を長くひざまずいて、左の手を垂れたままで握っていた。右の足は地をふんで、右の肘を膝に付け、その手さきは頤を支えていた。髪も鬚《ひげ》も真っ白で、悲しむが如くに眉をひそめ、眼を閉じていた。
やがて家のまわりに電光雷鳴、その人のゆくえは知れなくなった。
化鳥
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