、土を掘ってみると、それが前と同じように、みな地中に逆さまに立っていました。
その年、延義は家来のために殺されて、王氏は滅亡しました。
怪青年
軍吏《ぐんり》の徐彦成《じょげんせい》は材木を買うのを一つの商売にしていまして、丁亥《ていがい》の年、信《しん》州の※[#「さんずい+内」、第4水準2−78−24]口場《ぜいこうじょう》へ材木を買いに行きましたが、思うような買物が見当らないので、暫くそこに舟《ふな》がかりをしていると、ある日の夕暮れ、ひとりの青年が二人の僕《しもべ》をつれて、岸のあたりを人待ち顔に徘徊しているのを見ましたので、徐は声をかけてその三人を舟へ呼び込み、有り合わせの酒や肴を馳走すると、青年はひどく気の毒がっているようでしたが、帰るときに徐に言いました。
「わたしはここから五、六里のところにある別荘に住んでいる者です。明日一度お遊びにお出で下さいませんか」
「ありがとうございます」
あくる日、約束の通りにたずねて行くと、一里ばかりのところに迎いの者が来ていました。馬に乗せられ、案内されると、やがて大きい邸宅の前に着きました。かの青年も出《い》で迎えて、い
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