中国怪奇小説集
酉陽雑爼(唐)
岡本綺堂

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)唐《とう》代は

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)大|瓶《かめ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)臨※[#「さんずい+「緇」のつくり」、第3水準1−86−81]
−−

 第三の男は語る。
「唐《とう》代は詩文ともに最も隆昌をきわめ、支那においては空前絶後ともいうべき時代でありますから、小説伝奇その他の文学に関する有名の著作も甚だ多く、なにを紹介してよろしいか頗《すこぶ》る選択に苦しむのでありますが、その中でわたくしは先ず『酉陽雑爼』のお話をすることに致します。これも『捜神記』と同様に、早くわが国に渡来して居りますので、その翻案《ほんあん》がわが文学の上にもしばしばあらわれて居ります。
 この作者は唐の段成式《だんせいしき》であります。彼は臨※[#「さんずい+「緇」のつくり」、第3水準1−86−81]《りんし》の人で、字《あざな》を柯古《かこ》といい、父の文
次へ
全41ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
岡本 綺堂 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング