が大勢の馬士《まご》を斬った。新しい材料はそれからそれへと殖えて来るので、浄瑠璃の作者もその取捨《しゅしゃ》に苦しんだが、豊竹座ではお園六三郎と、かしくと、十右衛門と、その三つの事件を一つに組み合わせて、八重霞浪華浜荻《やえがすみなにわのはまおぎ》という新浄瑠璃をその月の二十六日から興行することになった。
お園と六三郎との名はとうとう浄瑠璃に唄われてしまった。しかし近松の時代と違って、事実を有りのままに仕組むということは遠慮しなければならないような習わしになっていたので、大工の六三郎は武士に作り替えられて、大和の浪人小柴六三郎という名を番附にしるされた。
底本:「江戸情話集」光文社時代小説文庫、光文社
1993(平成5)年12月20日初版1刷発行
入力:tatsuki
校正:かとうかおり
2000年6月10日公開
2008年10月3日修正
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