お休み下さい。」
 横田君はこう言いおいて出て行きましたが、とても寝られるわけのものではありません。私もおちつかない心持で捜索隊の帰るのを待ち暮らしていますと、夜なかになって横田君らは引揚げて来ました。
「昌吉はどうしても見つかりません。」
 その報告を聴かされて、私もいよいよがっかりしました。それと同時に、昌吉のゆくえ不明は、かの捨松とおなじような運命ではあるまいかとも考えられました。

 わたしはその翌日もここに滞在して、昌吉の行く末を見届けたいと思っていますと、きょうは警察や青年団も出張して、大がかりの捜索をつづけたのですが、少年のゆくえは結局不明に終りました。いつまでもここの厄介になってもいられないので、わたしは次の日に出発して、宇都宮に一日を暮らして、それから真っ直ぐに帰京しましたが、何分にも昌吉のことが気にかかるので、横田君に手紙を出してその後の模様を問いあわせると、二、三日の後に返事が来ました。その文句は大体こんなことでした。
[#ここから2字下げ]
前略、折角お立寄りくだされ候ところ、意外の椿事|出来《しゅったい》のために種々御心配相掛け、なんとも申訳無御座候。昌吉のゆ
前へ 次へ
全256ページ中254ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
岡本 綺堂 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング