世界怪談名作集
幽霊の移転
ストックトン Francis Richard Stockton
岡本綺堂訳
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)甚《はなは》だ
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)素敵|滅法界《めっぽうかい》の
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)うんざり[#「うんざり」に傍点]した。
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ジョン・ヒンクマン氏の田園住宅は、いろいろの理由から僕にとっては甚《はなは》だ愉快な場所で、やや無遠慮ではあるが、まことに居心地《いごこち》のよい接待ぶりの寓居《ぐうきょ》であった。庭には綺麗に刈り込んだ芝原と、塔のように突っ立った槲《かしわ》や楡《にれ》の木があって、ほかにも所どころに木立ちが茂っていた。家から遠くないところに小さい流れがあって、そこには皮付きの粗末な橋が架けてあった。
ここらには花もあれば果物もあり、愉快な人たちも住んでいて、将棋、玉突き、騎馬、散歩、魚釣りなどの遊戯機関もそなわっていた。それらはもちろん、大いに人を惹《ひ》くの力はあったが、単にそれだけのことでは、そこに長居をする気にはなれ
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