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(頼家は行きかゝりて物につまづく。桂は走り寄りてその手を取る。)
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頼家 おゝ、いつの間にか暗うなつた。
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(僧はすゝみ出でて、桂に燈籠を渡す。桂は假面の箱を僧にわたし、我は片手に燈籠を持ち、片手に頼家をひきて出づ。夜叉王はぢつと思案の體なり。)
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かへで 父さま、お見送りを……。
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(夜叉王は初めて心づきたる如く、娘と共に門口に送り出づ。)
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五郎 そちへの御褒美は、あらためて沙汰するぞ。
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(頼家等は相前後して出でゆく。夜叉王は起ち上りて、しばらく默然としてゐたりしが、やがてつか/\と縁にあがり、細工場より槌を持ち來りて、壁にかけたる種々の假面を取下《とりおろ》し、あはや打碎かんとす。楓はおどろきて取縋る。)
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かへで あゝ
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