げやす》
金窪兵衞尉行親《かなくぼひやうゑのじようゆきちか》
修禪寺の僧
行親の家來など
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       (一)

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伊豆の國|狩野《かの》の庄、修禪寺村(今の修善寺)桂川《かつらがは》のほとり、夜叉王の住家。
藁葺《わらぶき》の古びたる二重|家體《やたい》。破れたる壁に舞樂の面などをかけ、正面に紺|暖簾《のれん》の出入口あり。下手《しもて》に爐を切りて、素燒の土瓶《どびん》などかけたり。庭の入口は竹にて編みたる門、外には柳の大樹。そのうしろは畑を隔てゝ、塔の峯つゞきの山または丘などみゆ。元久元年七月十八日。
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(二|重《ぢゆう》の上手《かみて》につゞける一間の家體は細工場《さいくば》にて、三方に古《ふ》りたる蒲簾《がますだれ》をおろせり。庭さきには秋草の花咲きたる垣に沿うて荒むしろを敷き、姉娘|桂《かつら》廿歳。妹娘|楓《かへで》、十八歳。相對して紙砧《かみぎぬた》を擣《う》つてゐる。)
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かつら (軈《やが》て砧の手をやめる)一|※[#「日+
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