五郎 おお、春彦か。
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(春彦は近づきてささやく。)
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五郎 や、なんと言う。金窪の参入は……。上様を……。しかと左様か。むむ。
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(五郎はあわただしく引っ返しゆかんとする時、橋の上より軍兵一人|長巻《ながまき》をたずさえて出で、無言にて撃ってかかる。五郎は抜きあわせて、たちまち斬《き》って捨つ。軍兵数人、上下より走り出で、五郎を押っ取りまく。)
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五郎 やあ、春彦。ここはそれがしが受け取った。そちは御座所へ走せ参じて、この趣を注進せい。
春彦 はっ。
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(春彦は橋をわたりて走り去る。五郎は左右に敵を引き受けて奮闘す。)
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第三場
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もとの夜叉王の住家。夜叉王は門《かど》にたちて望む。修禅寺にて早鐘を撞く音きこゆ。
(向うより楓は走り出づ。)
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かえで
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