ましたね。」
それは、かの通信員であった。
「どういうことに解決したんです。」
「あなたのお座敷へ行ってゆっくり話しましょう。」
彼は先きに立って内へはいった。僕もつづいて二階にあがると、かれは懐中から一冊のノート・ブックを取り出して自分の膝の前において、それからおもむろに話し出した。
「わたしの鑑定は半分あたって半分はずれましたよ。二人の女学生の死んだ原因はやはり沢桔梗でした。亀井兼子が遠山と関係のあったのも事実でした。それだけはみな当たったのですが、肝腎の犯人は生き残った服部近子でなく、兼子と一緒に死んだ藤田みね子であったのです。それが実に意外でした。彼女がなぜ自分の親友を毒殺したかというと、やはりかの遠山という学生のためだということが判ったのです。」
「では、みね子も遠山に関係があったんですか。」
「なにぶんにも死人に口なしで、二人の関係がどの程度まで進んでいたかということははっきり判りませんが、とにかくみね子が遠山に恋していたのは事実です。ところが、兼子も遠山に恋していて、両者の関係がだんだん濃厚になって来るので、表面は姉妹同様に睦まじくしていても、みね子はひそかに兼子を呪
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