めるでもなく、その後も相変らず神明の店に通っていると、庄之助はその後たび/\尋ねて来て、早く神明の方をやめてくれと催促する。おふくろのお幸も傍から勧める。お金ももう断り切れなくなって、男と相談の上で一旦どこへか姿を隠してしまったのです。
そんなことゝは知らないで、庄之助は又もや片門前の家へたずねてゆくと、姉はこの間から家出して行方が知れないということをお幸から聞かされて、庄之助もおどろきました。新内松のことはお幸も薄々知っていたのですが、そんなことを庄之助にうっかり云っていゝか悪いかと遠慮していたので、何がどうしたのか庄之助には些《ちっ》とも判りません。それでも神明へ行って訊いてみたら、なにかの手がかりもあろうかと、何気ない風でお金の店へ出かけてゆくと、いきなり地廻りやごろつき共に取りまかれて、前に云ったような大騒動を仕出来《しでか》したのです。桜井庄之助という若い侍は姉思いから飛んだことになって気の毒でした。
すべての事情が斯うわかってみると、庄之助の八人斬にも大いに同情すべき点があります。斬られた相手は皆ごろつきや地廻りで、事の実否もよく糺さず、武士に対して狼藉を働いたのですか
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