を云い出すわけにも行かないので、たゞ一通りの遊びのように見せかけて、幾たびか神明通いをした上で、だん/\にお金とも馴染になって、その実家は片門前にあることや、おふくろの名はお幸ということなどを確かめたので、ある日片門前の家へたずねて行って、おふくろのお幸に逢いました。お幸も最初はあやぶんでいたのですが、庄之助の方から自分の屋敷の名をあかし、併せて一切の秘密をうち明けたので、お幸もはじめて安心して、これも正直に何も彼も打ちあけることになりました。お金は初めて自分の素性を知って驚いたわけです。そこで庄之助は姉にむかって云いました。
「お父さまは近ごろ御病身で、昨年の夏から御隠居のお届けをなされまして、若年ながら手前が家督を相続しております。つきましてはひとりのお姉《あねえ》様を唯今のようなお姿にして置くことはなりませぬ。表向きに屋敷へお連れ申すことは出来ませずとも、どこぞに相当の世帯をお持ちなされて、義理の母御と御不自由なくお暮しなさるゝように、手前が屹とお賄い申します。」
 そうなればまことに有難い話で、お幸に勿論異存のあろう筈はありませんでしたが、お金はすこし返事に困りました。矢場女を
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