權三 (助十と顏を見あはせる。)あい、あい。きつと味方を致します。
六郎 よし、よし。それならば仕樣がある。(上のかたに向ひて。)おい、おい。誰か來てくれ。早く來てくれ。
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(上のかたより助八を先に、雲哲と願哲出づ。)
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六郎 おゝ、助八。おまへの家に麻繩のやうなものは三本ほどないか。
助八 さあ、三本はどうだかな、
おかん 内にも一本ぐらゐはありましたよ。
助八 なにしろ探して來ませう。
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(助八は我家に入る。おかんも奧に入る。)
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雲哲 用はもうそれだけかね。
六郎 いや、おまへ達もそこにゐてくれ。まだ外にも用があるのだ。
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(おかんは奧より麻繩一本持ちて出づ。)
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おかん これで間に合ひますかえ。
六郎 よし、よし。(繩をうけ取る
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