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(彦三郎は無埋に振切つて行かうとするを、六郎兵衞は留める。おかんはうろ/\しながら權三を手招ぎし、なんとかしろと云ふ。權三ももう堪らなくなつて進み出で、彦三郎の前に立塞《たちふさ》がる。)
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權三 まあ、おまへさん。待ちなせえ。
彦三郎 えゝ、どなたも邪魔をして下さるな。
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(彦三郎は突きのけて行かうとするを、權三は抱きとめる。)
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權三 邪魔をするわけぢやあねえ。おれが好い智慧を貸してやるのだ。やい、やい、助十。見てゐることはねえ。一緒に留めてくれ、留めてくれ。
おかん (縁に出る。)助さんも早く何とかおしなねえ。
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(助十も決心して起つ。)
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助十 (彦三郎に。)まあ、待ちなせえ。待ちなせえ。まつたくおれ達が好い智慧を貸してやるのだ。
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