。
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(醫者は供の男と共に向うへ去る。お作はそのあとを見送り、更に枝折戸の外より内をうかゞふ。鶯の聲。)
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お作 御免下さりませ。
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(半二は見返らず、一心に書きつづけてゐる。)
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お作 (再び呼ぶ)御免くださりませ。
おきよ (奧より出づ)おゝ、お出でなされましたか。どうぞこちらへ……。
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(お作は内に入る。)
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おきよ (半二に)お作さんがお出でなされました。
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(半二はやはり默つてゐる。お作は打つちやつて置けと眼で知らすれば、おきよはそこにある茶碗を片附けて奧に入る。お作は無言にて持參の桃の花を床の間に生ける。)
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半二 (初めて氣がつく)おゝ、お作どの……いつの間にか來てゐたな。
お作 御氣分は如何でござります。
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