なかった。葬いは近所の人たちの手を借りて、その明くる日の夕方にとどこおりなく済ませたと、翁も顔をくもらせながら話した。
 千枝松も眉を寄せて、この奇怪な物語に耳をかたむけていると、翁はまた言った。
「わしの考えでは、それもみんな古塚の祟りじゃ。わしらがあの森の奥へむざと踏み込んだので、その祟りがわしの身にはかからいで、婆の上に落ちかかって来たのじゃ。婆めは塚のぬしにひき寄せられて、あの森の奥に屍《しかばね》をさらすようになったのであろう。千枝ま[#「ま」に傍点]よ、お前もまんざら係り合いがないでもない。婆めはあの丘の裾に埋めてある。暇があったら一度はその墓を拝んでやってくれ。生きている間は仇同士のようにしていても、死ねば仏じゃ。どうぞ回向《えこう》を頼むぞよ」
 こう言っているうちに、翁はだんだんにふだんの笑顔にかえった。しかし千枝松は笑っていられなかった。俄に物の祟りということが怖ろしくなってきて、さらでも寒い朝風に吹きさらされながら彼は鳥肌の身をすくめた。
「それは気の毒じゃ。わしもきっと拝みにゆく」
 翁に別れてふた足三足行きかかると、彼はあとから呼び戻された。
「千枝ま[#「ま
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