わせて、二つの眼でたしかにそれを見とどけたのじゃ」
「見たというても老いの眼じゃ。その魚《さかな》のような白い眼ではのう」と、千枝松はあざ笑った。
「なんじゃ、さかなの眼じゃ」と、婆は膝を立て直した。「これでもわしの眼は見透しじゃ。お前らのような明盲と一つになろうかい」
「なにが明きめくらじゃ」と、千枝松も居直った。
「そんならわしを、さかなの眼となぜ言やった」
「そのように見ゆるから言うたのじゃ」
 二人が喧嘩腰になって口から泡をふこうとするのを、翁は又かというように笑いながらしずめた。
「はて、もうよい、もうよい。隣りの娘が髑髏を頂こうと、抱えようと、わしらになんの係り合いもないことじゃ。角目《つのめ》立って争うほどのこともないわ。千枝ま[#「ま」に傍点]はとかくに婆めと仲がようないぞ。二人を突きあわせて置いては騒々しくてならぬ。千枝ま[#「ま」に傍点]はもう帰って、あしたまた出直して来やれ」
「そうじゃ。爺さまがこんな阿呆を誘い入れたのが悪い」と、婆は焚火越しに睨んだ。「ここはわしらの家じゃ。お前を置くことはならぬ。早う帰ってくりゃれ」
「おお、帰らいでか。わしがことを阿呆とよう
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