って元の庭に落ちたが、唯ひとつの白い幣はさながら白い鳥の飛ぶように、高い空をどこまでも走って行った。
泰親は跳りあがってそのゆくえを見送った。
「あの幣の落つるところに妖魔は確かに封じられた」
あたかもこの日のこの時刻である。三浦と上総とは霰のなかで那須の篠原を狩り立てて、金毛の狐を射倒したのであった。三浦の黒い矢は狐の頸筋を射た。上総の白い矢は狐の脇腹を射た。その注進はわずかに五日の後、早馬を以って都に伝えられた。
播磨守泰親は再び面目を施した。しかし重ねがさねの心労で、彼はその後|十日《とおか》ばかりは病いの床についた。その間のある夕に、千枝太郎は看病の枕もとをぬけ出して行くえが知れなかった。病いが癒えてから泰親はそれを知って、溜息をつきながら弟子たちに言い聞かせた。
「彼はおそらく那須野へさまよって行ったのであろう。所詮かれの面《おもて》にあやかしの相は消えぬ。救おうとしても救われまい。これも逃れぬ宿世《すくせ》の業《ごう》じゃ」
弟子たちももう彼のゆくえを探そうとはしなかった。
三
「その狐は顔だけが雪のように白うて、胴体や四足の毛は黄金《こがね》のように輝
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