ずいた。
「かずならぬ甥めが後世《ごせ》安楽のために、関白殿が施主《せしゅ》となって大法要を催さるるとは、御芳志は海山《うみやま》、それがしお礼の申し上げようもござらぬ。たとい如何ほどの重病たりとも、当日の導師の務めは拙僧かならず相勤め申す。この趣《おもむき》、殿下へよろしくお取次ぎを……」
見たところは痛ましくやつれているが、その応対にすこしも変わった節は見えないので、清治はまず安心した。すぐに屋形へ戻ってその通りを報告すると、忠通も眉を開いた。
「それほどに申すからは子細はあるまい。当日の用意万端怠るな」
やがてその当日が来た。時の関白殿が施主となって営まるる大法要というのであるから、仏の兼輔に親しいも疎《うと》いもみな袂をつらねて法性寺の御堂《みどう》にあつまった。門前は人と車とで押し合うほどであった。その綺羅《きら》びやかな、そうして壮厳な仏事のありさまをよそながら拝もうとして、四方から群がって来た都の老幼男女も、門前を埋めるばかりにひしひしと詰めよせていた。四月も末に近い白昼《まひる》の日は、このたとえ難い混雑の上を一面に照らして、男の額にも女の眉にも汗がにじんだ。
「ほ
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