の声々をいよいよ姦《かしま》しくほとばしらせた。かれらは兼輔の晴れの直衣をあたら揉み苦茶にするほどに、袖や袂を遠慮なしに掴んで小突きまわして、さあ白状しろと責めさいなんだ。女の袖に焚きしめた香の匂いや、髪の匂いや油の匂いや、それが一緒に乱れて流れて、女の匂いに馴れていた兼輔ももうむせ返りそうになってきた。
彼が眼鼻を一つにして苦しんでいるのを、実雅はいよいよ妬《ねた》げに睨んでいたが、ふと気がついたように庭先きへ眼をやった。
「ほう。えらい嵐になった」
まことに凄まじい嵐であった。おぼろ月はそれに吹き消されたように光りを隠して、闇をゆるがすような嵐の音がどうどうと聞こえた。花に嵐は珍しくないが、これまた疾風《はやて》のような怖ろしい勢いで、山じゅうの桜を一度に落とそうとするらしかった。鞍馬の天狗倒しがここまで吹き寄せかとも思われて、座敷じゅうの笑い声は俄にやんだ。女たちは顔を掩って俯伏した。嵐は座敷の内へもどっと吹き込んで、あらん限りのともし灯を奪ってゆくように、片端からみな打ち消してしまった。
真っ暗ななかで男たちは息をのんだ。女たちはおもわず泣き声をあげた。外の嵐はまだ吹きつ
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