と顔をみあわせ、思わず持ったる財布を縁にばたりと落す。社のかげより十右衛門いず。)
[#ここで字下げ終わり]
十右衛 親分さん。計略がうまくいきましたね。
半七 途中で御相談した通りの段取りで、とうとうあいつを自滅させましたよ。
十右衛 さすがはお前さんのお腕前、まったく感心いたしました。これ、お冬。この親分さんが角太郎のかたきを見つけ出して下すったのだよ。よくお礼をいうがいい。
お冬 はい。ありがとうございます。
十右衛 これでわたくしも安心しました。いや、ありがとうございます。
お冬 ありがとうございます。
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(二人は左右から半七に礼をいう。上のかたにて二三人の声きこゆ。)
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声 身なげだ、身なげだ。
半七 もうやったか。気の早え奴だな。(上のかたに向いて。)だが、むやみに引揚げちゃあいけねえ。待った、待った。
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(これにて舞台は真暗になる。)
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  (三)

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舞台が再び明るくなると、正面は黒幕。
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