画工と幽霊
岡本綺堂
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)頗《すこぶ》る
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)英国|倫敦《ロンドン》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)ほっ[#「ほっ」に傍点]
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千八百八十四年、英国|倫敦《ロンドン》発刊の某雑誌に「最も奇なる、実に驚くべき怪談」と題して、頗《すこぶ》る小説的の一種の妖怪談を掲載し、この世界の上には人間の想像すべからざる秘密又は不思議が存在しているに相違ない、これが即ち其《そ》の最も信ずべき有力の証拠であると称して、その妖怪を実地に見届けた本人(画工《がこう》エリック)の談話を其《そ》のまま筆記してある。原文は余《よ》ほど長いものであるから、今その要《よう》を摘《つま》んで左《さ》に紹介する。で、その中に私《わたし》とあるのは、即ち其《そ》の目撃者たる画工自身の事だ。
今年の七月下旬、私は某《ある》友人の紹介で、貴族エル何某《なにがし》の別荘へ避暑かたがた遊びに行った事がある、その別荘は倫敦《ロンドン》の街から九|哩《マイル》ばかり距《はな》れた所にある
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