ナナン大将は まだ来ていない。
もう八時なのにどうしたのだろう
バナナン大将は 帰らない。」
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(銅鑼)
立てるもの合唱(きれぎれに)
「いくさで死ぬならあきらめもするが
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いまごろ餓《う》えて死にたくはない
ああただひときれこの世のなごりに
バナナかなにかを 食いたいな。」
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(共に倒《たお》る)(銅鑼《どら》)
バナナン大将登場。バナナのエボレットを飾《かざ》り菓子《かし》の勲章《くんしょう》を胸に満《みた》せり。
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バナナン大将
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「つかれたつかれたすっかりつかれた
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脚《あし》はまるっきり 二本のステッキ
いったいすこぅし飲み過ぎたのだし
馬肉もあんまり食いすぎた。」
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(叫《さけ》ぶ。)「何だ。まっくらじゃないか。今ごろになってまだあかりも点《つ》けんのか。」
兵士等辛うじて立ちあがり挙手の礼。
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大将「灯《あかり》をつけろ、間抜《まぬ》けめ。」
[#こ
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