[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
特務曹長「将軍、お申し訳けのないことを致《いた》しました。」
曹長「将軍、私に死を下されませ。」
バナナン大将「いいや、ならん。」
特務曹長「けれどもこれから私共は毎日将軍の軍装《ぐんそう》拝しますごとに烈《はげ》しく良心に責められなければなりません。」
大将「いいや、今わしは神のみ力を受けて新らしい体操を発明したじゃ。それは名づけて生産体操となすべきじゃ。従来の不生産式体操と自《おのずか》ら撰《せん》を異にするじゃ。」
特務曹長「閣下、何とぞその訓練をいただきたくあります。」
大将「ふん。それはもちろんよろしい。いいか。
[#ここから1字下げ]
では、集れっ。(総《すべ》て号令のごとく行わる。)ション。右ぃ習え。直れっ。番号。」
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
兵士「一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、十一、十二、」
[#ここから2字下げ]
兵士|伍《ご》を組む。
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
大将「前列二歩前へおいっ。偶数《ぐうすう》一歩前へおいっ。
前へ 次へ
全20ページ中15ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング