虔十公園林
宮沢賢治
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)虔十《けんじふ》は
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)丁度|虔十《けんじふ》の
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)植※[#小書き平仮名ゑ、49−6]らぃ。
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虔十《けんじふ》はいつも繩《なは》の帯をしめてわらって杜《もり》の中や畑の間をゆっくりあるいてゐるのでした。
雨の中の青い藪《やぶ》を見てはよろこんで目をパチパチさせ青ぞらをどこまでも翔《か》けて行く鷹《たか》を見付けてははねあがって手をたゝいてみんなに知らせました。
けれどもあんまり子供らが虔十をばかにして笑ふものですから虔十はだんだん笑はないふりをするやうになりました。
風がどうと吹いてぶなの葉がチラチラ光るときなどは虔十はもううれしくてうれしくてひとりでに笑へて仕方ないのを、無理やり大きく口をあき、はあはあ息だけついてごまかしながらいつまでもいつまでもそのぶなの木を見上げて立ってゐるのでした。
時にはそ
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