泣かれたんでは、全く気の毒でしたし、第一折角あんなに機嫌《きげん》よく、私にはなしかけたものを、ひやかしてやめさせてしまふなんて、あんまり私も心持ちがよくありませんでした。
「じっさい鳥はさまざまだねえ。
 はじめは形や声だけさまざまでも、はねのいろはみんな同じで白かったんだねえ。それがどうして今のやうに、みんな変ってしまったらう。尤《もっと》も鷺《さぎ》や鵠《こふ》は、今でもからだ中まっ白だけれど、それは変らなかったのだらうねえ。」
 梟は私が斯《か》う云ふ間に、だんだん顔をこっちへ直して、おしまひごろはもう頭をすこしうごかしてうなづきながら、私の云ふのに調子をとってゐたのです。
「それはもう立派な訳がございます。
 ぜんたいみんなまっ白では、
 ずゐぶん間ちがひなども多ございました。
 たとへばよく雉子《きじ》や山鳥などが、うしろから
『四十雀《しじふから》さん、こんにちは。』とやりますと、変な顔をしながらだまって振り向くのがひはだったり、小さな鳥どもが木の上にゐて、
『ひはさん、いらっしやいよ。』なんて遠くから呼びますのに、それが頬白《ほほじろ》で自分よりもひはのことをよく思って
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