の白馬《しろうま》の上に居て、待ちくたびれてあくびをした。すると俄《には》かに白馬《しろうま》は、がたがたがたがたふるへ出しそれからからだ一面に、あせとけむりを噴き出した。プー先生はこはさうに、遠くへ行つてながめてゐる。がたがたがたがた鳴りながら、馬はけむりをつゞけて噴いた。そのまた煙が無暗《むやみ》に辛《から》い。ソン将軍も、はじめは我慢してゐたが、たうとう両手を眼にあてて、ごほんごほんとせきをした。そのうちだんだんけむりは消えてこんどは、汗が滝よりひどくながれだす。プー先生は近くへよつて、両手をちよつと鞍《くら》にあて、二つつばかりゆすぶつた。
 たちまち鞍はすぱりとはなれ、はずみを食つた将軍は、床にすとんと落された。ところがさすが将軍だ。いつかきちんと立つてゐる。おまけに鞍と将軍も、もうすつかりとはなれてゐて、将軍はまがつた両足を、両手でぱしやぱしや叩《たた》いたし、馬は俄かに荷がなくなつて、さも見当がつかないらしく、せなかをゆらゆらゆすぶつた。するとバーユー将軍はこんどは馬のはうきのやうなしつぽを持つて、いきなりぐつと引つ張つた。すると何やらまつ白な、尾の形した塊が、ごとりと床
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