た人たちは、右のリンポー先生へ、三つにわかれてはひるのだつた。
さて三人は三人とも、実に医術もよくできて、また仁心《じんしん》も相当あつて、たしかにもはや名医の類であつたのだが、まだいゝ機会《をり》がなかつたために別に位もなかつたし、遠くへ名前も聞えなかつた。ところがたうとうある日のこと、ふしぎなことが起つてきた。
二、北守《ほくしゆ》将軍ソンバーユー
ある日のちやうど日の出ごろ、ラユーの町の人たちは、はるかな北の野原の方で、鳥か何かがたくさん群れて、声をそろへて鳴くやうな、をかしな音を、ときどき聴いた。はじめは誰《だれ》も気にかけず、店を掃いたりしてゐたが、朝めしすこしすぎたころ、だんだんそれが近づいて、みんな立派なチヤルメラや、ラツパの音だとわかつてくると、町ぢゆうにはかにざわざわした。その間にはぱたぱたいふ、太鼓の類の音もする。もう商人《あきうど》も職人も、仕事がすこしも手につかない。門を守つた兵隊たちは、まづ門をみなしつかりとざし、町をめぐつた壁の上には、見張りの者をならべて置いて、それからお宮へ知らせを出した。
そしてその日の午《ひる》ちかく、ひづめの音
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