いそぎひれふせ、ひざまづけ、 みじろがざれ。」と技手云へば、
種子やまくらんいこふらん、 ひとらかすみにうごくともなし。
〔うからもて台地の雪に〕
うからもて台地の雪に、 部落《シユク》なせるその杜黝し。
曙人《とほつおや》、馮《の》りくる児らを、 穹窿ぞ光りて覆ふ。
〔残丘《モナドノツク》の雪の上に〕
残丘《モナドノツク》の雪の上に、 二すぢうかぶ雲ありて、
誰かは知らねサラアなる、 女《ひと》のおもひをうつしたる。
信をだになほ装へる、 よりよき生へのこのねがひを、
なにとてきみはさとり得ぬと、 しばしうらみて消えにけり。
民間薬
たけしき耕の具を帯びて、 羆熊の皮は着たれども、
夜に日をつげる一月の、 干泥のわざに身をわびて、
しばしましろの露置ける、 すぎなの畔にまどろめば、
はじめは額の雲ぬるみ、 鳴きかひめぐるむらひばり、
やがては古き巨人の、 石の匙もて出できたり、
ネプウメリてふ草の葉を、 薬に食めとをしへけり。
〔吹雪かゞやくなかにして〕
吹雪かゞやくな
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