はりて〕
風桜
萎花
〔秘事念仏の大師匠〕〔一〕
麻打
驟雨
〔血のいろにゆがめる月は〕
車中〔一〕
村道
〔さき立つ名誉村長は〕
〔僧の妻面膨れたる〕
〔玉蜀黍を播きやめ環にならべ〕
〔うからもて台地の雪に〕
〔残丘《モナドノツク》の雪の上に〕
民間薬
〔吹雪かゞやくなかにして〕
[#改丁]


  〔いたつきてゆめみなやみし〕

いたつきてゆめみなやみし、  (冬なりき)誰ともしらず、
そのかみの高麗の軍楽、    うち鼓して過ぎれるありき。

その線の工事了りて、     あるものはみちにさらばひ、
あるものは火をはなつてふ、  かくてまた冬はきたりぬ。



  〔水と濃きなだれの風や〕

水と濃きなだれの風や、    むら鳥のあやなすすだき、
アスティルベきらめく露と、  ひるがへる温石の門。

海浸す日より棲みゐて、    たゝかひにやぶれし神の、
二かしら猛きすがたを、    青々と行衛しられず。



  〔雪うづまきて日は温き〕

雪うづまきて日は温き、  萱のなかなる荼毘壇に、
県議院殿大居士の、    柩はしづとおろされぬ。

紫綾の大法衣、      逆光線に流
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