り金がはいっているせいか飛《と》びようがなんだか少し変《へん》でした。
王子たちはそのあとをついて行きました。
*
にわかにあたりがあかるくなりました。
今までポシャポシャやっていた雨が急《きゅう》に大粒《おおつぶ》になってざあざあと降《ふ》ってきたのです。
はちすずめが水の中の青い魚のように、なめらかにぬれて光りながら、二人《ふたり》の頭の上をせわしく飛《と》びめぐって、
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ザッ、ザ、ザ、ザザァザ、ザザァザ、ザザァ、
ふらばふれふれ、ひでりあめ、
トパァス、サファイア、ダイアモンド。
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と歌いました。するとあたりの調子《ちょうし》がなんだか急《きゅう》に変《へん》なぐあいになりました。雨があられに変《か》わってパラパラパラパラやってきたのです。
そして二人《ふたり》はまわりを森にかこまれたきれいな草の丘《おか》の頂上《ちょうじょう》に立っていました。
ところが二人は全《まった》くおどろいてしまいました。あられと思ったのはみんなダイアモンドやトパァスやサファイアだったのです。おお、その雨がどんなにきらびやかな
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