いん》を以て、小禽《しょうきん》の家に至る。時に小禽、既《すで》に終日日光に浴し、歌唄《かばい》跳躍《ちょうやく》して疲労《ひろう》をなし、唯唯《ただただ》甘美《かんび》の睡眠《すいみん》中にあり。汝等飛躍してこれを握《つか》む。利爪《りそう》深くその身に入り、諸《もろもろ》の小禽、痛苦|又《また》声を発するなし。則ちこれを裂《さ》きて擅《ほしいまま》に※[#「口+敢」、第3水準1−15−19]食《たんじき》す。或は沼田《しょうでん》に至り、螺蛤《らこう》を啄《ついば》む。螺蛤|軟泥《なんでい》中にあり、心|柔※[#「車+(而/大)」、第3水準1−92−46]《にゅうなん》にして、唯温水を憶《おも》う。時に俄《にわか》に身、空中にあり、或は直ちに身を破る、悶乱《もんらん》声を絶す。汝等これを※[#「口+敢」、第3水準1−15−19]食するに、又|懺悔《ざんげ》の念あることなし。
斯《かく》の如《ごと》きの諸《もろもろ》の悪業、挙げて数うるなし。悪業を以ての故《ゆえ》に、更《さら》に又諸の悪業を作る。継起《けいき》して遂《つい》に竟《おわ》ることなし。昼は則ち日光を懼《おそ》れ又人|及
前へ
次へ
全44ページ中3ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング