鳥箱先生とフウねずみ
宮沢賢治
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)云《い》ふ
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)正面|丈《だ》けが
−−
あるうちに一つの鳥かごがありました。
鳥かごと云《い》ふよりは、鳥箱といふ方が、よくわかるかもしれません。それは、天井と、底と、三方の壁とが、無暗《むやみ》に厚い板でできてゐて、正面|丈《だ》けが、針がねの網でこさへた戸になってゐました。
そして小さなガラスの窓が横の方についてゐました。ある日一|疋《ぴき》の子供のひよどりがその中に入れられました。ひよどりは、そんなせまい、くらいところへ入れられたので、いやがってバタバタバタバタしました。
鳥かごは、早速、
「バタバタ云っちゃいかん。」と云ひました。ひよどりは、それでも、まだ、バタバタしてゐましたが、つかれてうごけなくなると、こんどは、おっかさんの名を呼んで、泣きました。鳥かごは、早速、「泣いちゃいかん。」と云ひました。この時、とりかごは、急に、ははあおれは先生なんだなと気がつきました。なるほど、さう気がついて見ると、小さなガラス
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