双子のお星さまはめいめいのお宮に昇りました。そしてきちんと座《すわ》って見えない空の王様に申しました。
「私どもの不注意からしばらく役目を欠かしましてお申し訳けございません。それにもかかわらず今晩はおめぐみによりまして不思議に助かりました。海の王様が沢山の尊敬をお伝えして呉《く》れと申されました。それから海の底のひとでがお慈悲《じひ》をねがいました。又私どもから申しあげますがなまこももしできますならお許しを願いとう存じます。」
 そして二人は銀笛《ぎんてき》をとりあげました。
 東の空が黄金色《きんいろ》になり、もう夜明けに間もありません。



底本:「新編 銀河鉄道の夜」新潮文庫、新潮社
   1989(平成元)年6月15日発行
   1994(平成6)年6月5日13刷 
入力:野口英司
1999年7月23日公開
2004年3月22日修正
青空文庫作成ファイル:
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